河村たかし名古屋市長の字に見る「手書きで伝える」ということ
東京2020オリンピックのソフトボールで金メダルに輝いた後藤希友投手が表敬訪問をした際に、金メダルをかじるなどしたことで注目を浴びた河村たかし名古屋市長が、名古屋市の職員に向けに書いた直筆の謝罪文が話題になっていました。
名古屋市によると、この件で寄せられた苦情や批判は20日時点で約1万5000件近くにのぼるそう…
手書きの大切さを伝えている私としては悲しい気持ちになるニュースでした。
これは見過ごせない!と取り上げることに致しました。
※今回はあくまで【手書き】についてブログを書かせていただきます。
政治に関する批判やコメントはお控えいただけると幸いです。
それでは…!池上考察はじめます!
※画像は2021.8.23の時事ドットコムさんのサイトより
*文章*
令和3年8月23日
名古屋市職員の皆様へ
名古屋市長河村たかし
この度は私がひきおこした金メダル事件
により、皆様にお詫び申し上げます。
数多くの電話メール手紙等よせられ
業務にめいわくをかけております。
すべてわたしが悪かったことでございます。
つつしんでお詫び申し上げます。
以上
*****
解読が難しい。というのが正直な感想です。
この文字には7つの筆跡特長の他にもう一つ大きな特徴があります。
それは(名づけるなら)「とりあえずやっときゃいいでしょ病」です。
「100件超えるぐらい(苦情が)きてるらしいですね。
手書きで出さなきゃいけないでしょう。
心が伝わらないじゃないですか」
直筆で謝罪文を書かれた理由についてカメラに対し上記のように語られていらっしゃったとのこと。実はこのやらされ感、筆跡から見てとれるんです。みなさんも感じ取られているのではないでしょうか?「書けばいい!」と感じられる特徴が複数散見されます。
分かりやすい特徴としては「読めない(解読が難しい)」という感想の通り、字という情報伝達手段であるにも関わらず崩し字を多用し読みにくいということ。謝罪文の目的は伝えたい相手に気持ちや誠意を伝える、または説明等をすることです。相手が読めない、理解できなければ意味がないのです。
また崩し字の多様に加え、①止めるべき線を止めていないこと、②漢字の折れ曲がる部分を丸く書くという2つの要素も加わり、この文書は「走り書き」の印象を与えます。「誠意を持って謝罪をする」のに急いで書いたの?と相手に感じさせてしまい、丁寧さはおろか、信用を落としてしまいます。
続いて、さきほどもお伝えした河村たかし市長の7つの筆跡特長をご紹介します。
①漢字に見られる途中画大胆な省略
効率派、時に合理的ではあるが、独りよがりな一面。
②頭部突出控えめ
手偏や「申」の縦線が横線からあまり上に飛び出ていないため、協調性が高く調和を優先する性格です。
③縦線が下に伸びている
「年」「市」など、下への払いが非常に長い字があります。
これは、向上心がある努力家の特徴。大成される方に見かけることの多い特徴です。
④左払いが長い
「名」「度」「金」やひらがなの一部に見られますが、左払いかなり長いです。
自己主張が上手く、目立ちたがりな性格でもあります。
⑤ハネが弱い
仕事において細かいことにこだわりすぎず、気持ちの切り替えの早い性格。
⑥字が大字小字混合
安定した日常よりも変化のある刺激のある生活が好き。
⑦罫線があるにもかかわらず行がうねり、曲がっている
感情を抑えきれない一面。
筆跡からは、努力家で周りの意見にも耳を傾けられる組織のトップとして理想的な特徴がありました。まじめで頭の回転が速く仕事のできる方とお見受けしますが、興奮すると冷静に物事を見極められなくなってしまい、状況や立場を忘れて自分の感情を優先してしまう一面があるようです。
速く仕事が出来ること+感情を優先してしまうこと
このあたりが今回は裏目に出たのでは?と勝手ながら考えています。
「早く対応しよう!」という思いから謝罪の場面ではご法度なやっつけ仕事にも見える「とりあえずやっときゃいいでしょ病」…
字にはTPOがあるのです。読み手の配慮に欠ける書き方をしてしまうと、字が自分の分身としてマイナスのイメージを背負ったまま独り歩きをしてしまいます。手書きは自分の手から離れた後、場合によっては誤解を招き続けながら相手の手元に残ります。
最近、手書きの履歴書のアドバイスサービスを始めた私としては、凄く勉強になる手書きでした。
どんなときでも一呼吸おいて相手の気持ちに寄り添い筆をとりたいものですね。